水難事故が最近になって増えてきました。私も17歳のときに溺れかかった経験があります。

当時日本一水質が良いと言われた自然のままの海水浴場に、高校の友人たちとキャンプに行ったときのこと。

その海岸は人工のそれのような、なだらかな傾斜の砂浜ではなく、岩がごつごつとしていて急に深くなったり、今思えばけっこう危険なところでした。

若かった私は調子に乗って、なんていう名称だろう、これ以上沖に行ってはダメのロープがあるところまで泳いで行ってしまった。

そんなところまで行けば、浅瀬では透き通って見えていた海底は既になく、どす黒くて何も見えない海。

私はそのロープにつかまって海岸に戻るために呼吸を整えていたのですが、何気なく沖の方を見た瞬間に大きな波をかぶり、思い切り海水を飲んでしまいました。

海水は気管支に入るとすごい刺激で、思わず咳き込んだ。その瞬間、意識が遠のきかけてロープから手を離してしまいました。

なんと最悪なことに、同時にふくらはぎがつって・・

なぜか冷静に、たぶん私はここで死ぬんだと思ったが、本能が私をそうさせたのか、つった足のふくらはぎの筋肉を片手でがっつりと掴んで、もう一方の腕と片足だけで横泳ぎをし始めていました。

真っ青な空だけを見ながら、ひたすらに砂浜方面に足と腕、それぞれ1本ずつを動かしました。

そして、どれぐらいの時間が経ったのだろうか、水をかいていた手の指先が砂に触れた瞬間に自分が助かったことを知ったのです。

それ以来、なだらかに整えられたビーチでしか怖くて泳げなくなってしまいました。

若いって、どうしても無茶やっちゃうんだよね。私はこの経験から水の恐ろしさを知り、自分の息子に幼少から水泳を習わせました。

水泳ができるからといって、絶対に溺れないわけではないともわかっていますが、少なくても水に対する恐怖心でパニックにならない可能性が高くなるかもと思ったからです。